今、海外で密かに浸透している音楽ジャンルがあるらしい。EDMブーム、バンドブーム、ラップブームと大規模な流行とはどうやら流行り方が違うらしい。それこそ今から紹介するLo-Fi Hip Hopです。
ラップスターDrakeやThe WeekndはSoundCloud等インターネット上のサービスに音楽をアップロードして人気が出てデビューしたように、今世界の音楽の流行はインターネットから生まれると言っても過言ではありません。現在はSoundCloundはもちろんYouTube, Apple Music, Spotify等様々なサービスで音楽を視聴することができます。いい時代だ。
今、YouTubeで音楽ラジオ(24時間ライブ配信で音楽が流れ続ける)を検索すると、Lo-Fi Hip Hopを流しているチャンネルがかなり多いんです。しかも同時視聴者数はどの時間帯のどのチャンネルでも1万人近かったり。このジャンルはどうやら世界中の作業のオトモとなっているっぽい。
生のオーケストラの音楽を24時間集中して聞いていたら耳が疲れてしまう。人々の日常の音楽はもっとChillでLo-Fiな音楽を求めているみたい。
Lo-Fi Hip Hopとは
盛り上がるための音楽、踊るための音楽、社会に反抗するための音楽。これらの音楽は何か気分を変えるため、つまり日常から非日常へ抜け出すための道具という見方ができます。
Lo-Fi Hip Hopはもっと、日常に寄り添った音楽。作業をしながら常にプレイリストをかけっぱなしで毎日聞ける。生活と常に一緒にある。そんなChillな雰囲気をまとった音楽がLo-Fi Hip Hopなんだと思う。
日本だとJazzy Hip Hop、海外だとChillHopなんて呼ばれたりもしています。
Lo-Fiってどういう意味?
Lo-FiはLow Fidelityの略で、Hi-Fiの対義語。
Hi-Fi(High Fidelity)とは「高忠実度、高再現性」のことで、「原音に忠実な再現」という意味があります。要するに、「アーティストが鳴らした音そのものがアナタの家で再生される」的な意味。
逆にLo-Fiは少し歪んだり、ノイズが入ってしまっていること。もともとは低い音質での録音環境をディスった言葉でした。
でも、この場で使われるLo-Fiという言葉は「あえて最高の音質を追求しない価値観」だと個人的に思っています。極端なまでのHi-fi志向(より高音質、鳴らした音がそのままの鮮明さで人々の耳に届く)に疑問を抱いた人達によってLo-Fiという言葉は新しい趣味趣向となっていく。
世界がより高精細で解像度の高いものを量産できるようになっている今、逆にあえてちょっとピンぼけしていても良いんじゃない?って感じのちょっと粋なスタイルかもしれません。
Lo-Fi Hip Hopは生活に寄り添う音楽
では、結局Lo-Fi Hip Hopがどんな音楽かというと「Chillな雰囲気のHip Hop」って感じ。もちろん、Lo-Fiって付いているからには少しノイズや歪みがあったりしますが、音楽的な特徴としてはスローテンポが中心でインストゥルメンタルの楽曲も多く見かけます。ジャズっぽい管楽器が入るのも定番ですねー。
先程から言っているように、生活や作業のBGMとしてずっと流せるような音楽です。僕も作業中にちょくちょくLo-Fi Hip Hopを流すんですけど、イイですね。
Lo-Fi Hip Hopの祖「Nujabes」
Lo-Fi Hip Hopを語る際に欠かせない人物が1人。それは「Nujabes(ヌジャベス)」。彼の芸名である「瀬場 淳」のローマ字表記SEBAJUNを逆から読んだもの。2010年に交通事故によりすでに帰らぬ人となってしまっていますが、このジャンルに彼が遺した影響は本当に大きいんです。
アニメ映画『サムライチャンプルー』では監督の熱望によりサウンドトラックを手がけ、世界中にNujabesの名を知らしめました。そのため、Lo-Fi Hip Hopの音楽ラジオではアニメ映像や画像がよく使われています。
↑この動画、10時間くらいあります(笑)。作業用BGMにどうぞ。
錦織圭も愛しているNujabesの音楽
世界トップレベルのテニスプレイヤー、錦織圭。彼もまたNujabesの音楽に魅了された1人。試合前やリラックスしたい時などにNujabesの音楽を聞いてるとテレビのインタビューで述べ、それが一時話題となりました。
その関係で、錦織圭選手がNujabesの曲を厳選したコンピレーションアルバムも発売されています。
https://itunes.apple.com/jp/album/kei-nishikori-meets-nujabes/1078923064