ラウドロックの意味をわかりやすく解説します。

coldrain、SiM、PTP、などラウドロックやラウド系などと呼ばれるジャンルが現在日本の音楽シーンを盛り上げ始めています。 日本においてここ数年で大きく発展してきたジャンルであり、中では日本に収まらず海外にまで進出するバンドも徐々に増えてきています。

でも、ラウドロックって言葉がよくわかっていない人、実は多いと思います。 今日はそんなあなたのためにわかりやすくラウドロックについて説明していきます。

そもそも、ラウドロックってなに?

まずはラウドロックをwikiで調べてみました。

ラウドロックとはロックのサブジャンルの一つである。音楽的な特徴としてはハードコア、ヘヴィメタルの流れを汲みつつ、テクニカルな要素を抑えたシンプルなものである。テクニカルなリフや中盤の長いギターソロがハードロック、ヘヴィメタルの特徴であり、そういった部分に重きを置くスタイルが基本形態であることが多いが、ラウドロックはラップ、グロウル、スクリームなどをとりこんだより幅の広いボーカルスタイルや、ダウンチューニングを施したギターによる重苦しいリフ、エフェクターの多用、サンプラーやターンテーブルの導入などによる複雑化された音像、ミドルテンポで16分音符のシンコペーションを聞かせたグルーヴ感のあるリズムなど、それまでのハードロック、ヘヴィメタルにとらわれない様々なアイディアが導入されている。

…とWikipediaは教えてくれてますが、わからねーよ。わからねーからこのページ見に来てんだよ。そんな声が聞こえる気がするのでわかりやすく説明しますね。

つまり、ラウドロックとは「重いサウンドの邦ロック」

ラウドロック(Loud rock)とは、ここ数年のうちに新たに言われるようになった音楽ジャンルの一つで、loud=大きな、うるさい、という言葉からもわかるようにロックの中でも激しい音楽のことを指して言います。具体的には、スクリーム(デスボイスなどとよく言われるアレです)とか、ダウンチューニング、重いギターサウンドなんかを使っているとラウドロックって呼ばれますね。

そのようなバンドを総称してラウドロックと呼んでいます。特に、激ロックさんなどによく掲載されているバンドが多い印象です。

とにかく幅が広いです。 とりあえずスクリームボーカルを楽曲中に使っていたらラウドロック、ギターがダウンチューニングだったらラウドロック、みたいに猫も杓子もラウドロック。 大体、ロキノン系と呼ばれるジャンルよりサウンドが激しい、重かったらとりあえずラウドロック。

そんくらい大雑把なくくりで良いんです。大雑把なジャンルなので。

ただ、激しいと言ってもHi-STANDARDを筆頭にメロコア、パンクロックは結構明確に区別される感じがありますね。ハイスタは偉大なのです。

ラウドロックは広い範囲を持った日本独自のジャンル

実は「ラウドロック」という言葉は和製英語で、海外でラウドロックと言っても通じません。 日本で生まれた言葉が日本の中だけで発展し、ジャンルとして成立しています。

そもそもラウドロックという言葉自体が現れたのがほんの数年前の話で、とても新しい言葉です。なので定義もまだ定り切っていないというのが現状です。

ではなぜ、日本で独自のジャンルが生まれたのでしょうか。そして一つのジャンルとして成立し、成長しているのでしょうか。理由を考えていきましょう。

ラウドロックが日本独自の理由

ラウドロックが日本で独自に発展していった理由を考えていく際に、まずは日本の音楽業界の背景を考えていきます。

そしてその背景から考えられるラウドロックが日本で生まれた直接の理由である「日本のジャンルに対する寛容性」を説明します。

ラウドロックを生んだ、日本の背景

いろんな激しくて重い音楽を混ぜ込んだジャンルであるラウドロックが生まれた背景として ①細かいジャンルを構成するには総数が足りない ②バンドの基盤となるレーベルに所属するレーベルメイトはジャンルで統一されていない という2点があげれられます。

それぞれ詳しく見ましょう。

日本独特の背景①バンドの総数が少ない

そもそも論、日本はバンドの数が少ない!背景というよりも前提と言ったほうが正しいかもしれません。

これは日本が音楽的に豊かではないとか、バンドが嫌われているとかそういう話ではありません。

人口の問題です。日本1億2千万人、アメリカ3億2千万人超。同じ人口あたり、同じだけのバンドがあると単純に計算しても3倍近く差があります。

ジャンルというものは同じルーツを持って似たように派生したバンドの集まりによって作られます。したがって、集まるバンドの数が少ないという事実は直接、ジャンルを構成するバンドの数が少なくなることに繋がります。

海外ではジャンルは細かく、そしてはっきりと区別されています。日本だと「ラウドロック」一言でくくってしまう音楽が、海外だとエモ、スクリーモ、ポストハードコア、メタルコア…といったジャンルへ細分化。 前提としてバンドの総数が多いからこそなせる現象だとおもいます。

日本独特の背景②メジャーレーベルの大きな力

日本ではメジャーレーベルの力がとても大きく、ジャンルに関わらずたくさんのアーティストを抱えています。それはレーベルがテレビ局が母体になっている場合など、レーベルの来歴によるものが大きいです。

しかし、日本で大きな力を持つメジャーレーベルは、ジャンルによって成立しているレーベルではないため、基本的にレーベル内はジャンルのるつぼ。 レーベルが主催するイベントなんか本当に色々なジャンルが入り乱れます。

海外だと、ジャンルによってCDを出すレーベルが大体分かれているイメージです。 ポストハードコアのバンドが多く所属しているレーベル、メタルコアのバンドが多く所属しているレーベルというようにレーベルごとに得意なジャンルというものがあります。 レーベルメイトは大体似たような音楽性やジャンルということです。

もちろん、海外でも日本で言うメジャーレーベルのようなものはありますが、それでも大きなジャンルのなかでメンツが揃っている感覚はありますね。

ラウドロックが生まれたのは、日本がジャンルの違いに寛容的だから

本来細分化されるはずのバンド達が「ラウドロック」というジャンルにひとまとめにされるのは、以上の背景を受けて日本はジャンルに対して結構大きな枠で捉えているということ。 ジャンルを区別する文化自体があまりないと言い換えても良いかもしれませんね。

アイドルとバンドが同じイベントで演奏したり、歌ものとメタルコア系のバンドがフェスの同じステージに経ったりするなどがあることからもわかるように日本のジャンルの壁はとても低いです。

日本の夏フェスなんかその傾向が顕著。もうありとあらゆるジャンルのバンドやアーティストが同じステージに立ったりしてるいる姿がイメージできますよね。 同じステージで、ポップ系のアーティストの次にメタル系のバンド、その後にロキノン系のバンドが続く・・・なんて光景も。そもそもロキノン系という言葉自体、ラウドロックと似たようなもんです。

こういう光景って実は世界だと結構珍しいんです。 海外ではライブやフェスを行うとき、同じジャンルのバンド達が集まって開催されることが多いです。 メタルフェスはメタルバンドばかりですし、ポストハードコア系のバンドのライブツアーに帯同するバンドも同じくポストハードコアのバンドが並びます。

ラウドロックが目指す場所

そもそも、バンドの絶対数も海外に比べてとても少ないです。もし、細かくジャンルを分けてしまったならば、そのジャンルに含まれるバンドの数は少なすぎてそれはもはやジャンルとは言えなくなってしまうでしょう。

そこでメタルコア、ハードコア、ポストハードコア等様々なジャンルをひとまとめにして大きな枠組みでシーンを盛り上げるためにラウドロックというジャンルを作ったのではないでしょうか。

複数のジャンルがまとめられて一つのジャンルとして扱われるので自然とラウドロック内のバンドの数は多くなりますし、ジャンル全体での動きもそれに従って大きくなります。 ジャンル全体が盛り上がることでバンドも知名度を上げることができます。

つまり、まずは日本の音楽シーン全体にラウドロックという文化を確立させ、発展させる。そして徐々にバンドの数が増え、ラウドロックの中でさらに細分化をしていくことが理想であると私は考えます。

ラウドロックのメリットはなんと言っても多様性

エモ、メタルコアやヘビーメタルはもちろん、ヒップホップやレゲエなど本当に多種多様な要素をそれぞれ受け継いだバンド達が、一つにまとまって成立しているジャンルはとても素晴らしい。 ここまで様々な要素が混じったジャンルはとても珍しいです。

同じジャンルの中と言っても広い範囲を持つのでそれぞれ個性を出すことができますし、バンドそれぞれがお互いに影響を受けあい、様々な要素を取り込んでまた新しいものへと昇華させることができます。

細分化されたジャンルの中でお互い切磋琢磨してよりディープな世界へ突き進んでいく様子も個人的には惹かれますが、それはラウドロックというジャンルがもう少し成熟してからに期待しましょう。

デメリットとしては、複数のジャンルを取り込んで一つの大きなジャンルを形成しているので、ジャンル内で似ている音楽性のバンドを探すことは困難です。 例えば好きなアーティストの厳密なジャンルを言えと言われても答えづらいと思います。

ラウドロックやロキノン系等大枠でまとめられてしまいがちな日本では、似ていないバンド同士が似ていると言われてしまったりします。 一時期、ラウドロック系の音楽のほとんどがワンオクに似ていると言われていた事もあったりしたのでそういうことだと思います。

ただ、そこには一言言いたいことがあります。

似ているからって、パクリではありません。

似ているバンドが少ないからこそ、ちょっと音楽性が近いとパクリだのなんだの言われてしまいます。

ちなみにこの「音楽性が近い=パクリ」という考え方は間違っていて、「音楽性が近い=同じようなバンドから影響を受けている」がどちらかというと正しいんですよね。

例えば、Aという20年前に有名なアーティストがいて、それに憧れて音楽を始めたバンドが二組(B, C)いるとします。 Aの音楽性を受け継ぎつつ、新たな流行りも取り入れたBとCはそれまでほとんど関わりがなかったものの、同時期に有名に。両者ともにAの要素が感じられるので、音楽性は近い。

そこで、「BはCのパクリだ!」とか、「CはBに憧れている」なんて判断してしまうのはあまりにももったいない。 BもCが似たような音楽性を持っているとき、どれだけ個性を出せているかを評価するのが大切なのです。

音楽というのは長い歴史を持つと共に、連綿と受け継がれてきた影響というものがあります。そもそもロックだってもとはクラシックに影響を受けているんですよ。

ですから、似ているからってパクリだと言うのではなく、 「2つのバンドの似ているところはどこをルーツにしているんだろう」 「違うところはそれぞれどんなバンドに憧れたんだろう」 などと、”音楽通”っぽい視点で語れることができるとかっこいいですね

まとめ

フェスに行って初めてみるバンドにドハマリしてしまう、そんな可能性のある日本の音楽業界は僕は大好きです。割と簡単に自分の音楽の幅を広げることが出来ます。

自分の好きなバンドを見に行ったフェスで今まで自分が全く聞いてこなかった系統の音楽をそこで初めてみただけで好きになってしまったりできることは日本でしかできない利点だと思います。

日本だけでしか使われていないラウドロック。 最近本当に聞く機会が多くなってきました。 使われる理由やメリット、デメリットなどを調べてまとめてみましたが、日本でこのような音楽を発展させるためにはとても有効な手だと思います。

この記事が皆様の理解の手助けに少しでもなれたらいいなと思います。今回は言葉の説明だけになってしまいましたが、おすすめのカッコいいバンドは沢山あるのでこれからどんどん紹介もしていきます。また、海外のバンドも紹介していけたらいいな、とも考えています。

ラウドロックに興味のある方、海外のバンドもカッコいいんです。是非こちらの記事もご覧ください。

ラウドロック好きにおすすめする洋楽バンド8選

About the author

日本の大学を休学してスノーボードするためにノルウェーで1年間生活。腰椎分離症になってしまったため、現在は様子を見ながらニセコで滑っています。プロでもなんでもないですが、行けるとこまで行ってやろうと毎日滑ってます